サクマドロップス

野分晴小脇にサクマドロップス
双手挙げる用意はすでに大花野
伝言は一つ背高泡立ち草
系図より風が友だち吾亦紅
やさしさはにげやすきもの寒の晴
吹いてみる箸袋と冬天
新蕎麦や縁側があり伯父がいて
けあらしや私そんなに強くない
大根を切るとき体浮いてくる
居るだけでよかったんだよ寒の晴
冬障子一人消えし夜のことも
一人ずつ去る夕あかり白障子
さよならを繰り返してや花八つ手
冬帽子昨日と同じバスを待つ
ゆったりともの言う人と氷頭鱠
風呂吹きののっぺらぼうと対いおり   
久女の忌硝子戸に口当ててみる
地球儀に正座新年おめでとう
指先をすべる音の符芹なずな
朝刊を抜く二ン月の風を抜く
冬涛を丸ごと掴む男箸
流木の人恋しくて流れおり
自死という生き方もあり雪の朝
図書館の席に定位置六花

2018年(平成30年) 上期 氷原帯投句作品
 

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