鮭 鍋

少年の秋思直下に海吊るす
丸かじりの林檎ねむたい海のあり    
冗談でする恋もありコスモス野
ゆたかなる潮音耳朶はすでに秋
火星接近噂に遠い鮭の街
鮭鍋の鮭の一片まず崩す
惚れ合ってすする鮭鍋八分目
秋曇校舎の骨が透けてくる
栗はぜる画面いっぱいにソウル
「本日休診」札からからと秋彼岸

1988年(昭和63年) 氷原帯 下期俳句鍛錬会応募作品 『鮭鍋』
 

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