むべなるかな

2017.04.20 公開
2017.04.28 更新

遅ればせながらの報告です。
7日から11日まで九州に行ってきました。
旅行会社お仕着せのツアーに参加しただけのことです。
ひたすら連れて歩かされるだけのことではあります。
ちなみに毎日の歩数は,8817歩,6304歩,10831歩,5974歩,8758歩,です。
健脚というほどではなくても,階段を上ったり下りたりを含めこの程度は歩けないとツアーには参加できないということでもあります。
幸い途中で音を上げるということはありませんでしたが,帰宅して二日間は膝腰の痛さに苦しみました。

そういうことではなくて,私の個人的なツアーでの楽しみは”橋との出遭い”なのです。
とはいえ観光バスに乗ったままで渡る橋の写真を撮るのは至難の業です。
まさかそのためにバスを止めるわけにもいきませんし。
結局下車観光時にどれだけおもしろい橋に巡り合えるかが鍵となります。
前方に橋が見えたものならガイドの案内なんか目にも耳にも入りません。
お仲間の集団からひとり抜け出してチョロチョロ写真を撮って回ります。
そうして撮り集めた写真の集成が,『旅先で出会った橋たち』のページなのです。
橋に興味のない皆さんにも,ぜひご覧いただきたいと思います。

ところが,いまここで書こうとしていたのは橋たちのことでもありません。
今回の九州は,5日間中真ん中の3日目を除いてすべて雨にたたられました。
旅の思い出の良し悪しは限りなくお天気次第です。
その意味ではまったくもって盛り上がりに欠けるツアーでした。
が,九州のこの5日間は,どこに行っても雨の中でもサクラが満開でした。
摩訶不思議に思うのですが,日本人はどうしてサクラに喜ぶのでしょうか。
みんなが喜ぶから私も釣られて喜んでいました。
日ごろ”群れたくない”といっているにもかかわらず,日本人のひとりなのでしょうね。

また脱線しました。
サクラではありません。
歩いていて,北海道では見かけない花が咲いていると嬉しくなります。
九州のことですから南国情緒豊かな樹や花がたちまち目に留まります。
でもそんなの当たり前じゃん・・・

今回はコレです。(サムネイルをクリックしてください)
桜島の有村展望所を歩いていて,大きな木にからまりついている蔓性の植物が目に留まりました。

ほとんどツボミばかりながら,開いた花もあります。
北海道にもありそうでなさそうで,でも見たことないよなぁ。
名前がわかりませんでした。
フェリーで鹿児島に渡り仙巌園を散策していたら,ここにもありました。
立派な名札も立っていました。
『むべ』という名でした。

むかし天智天皇がひとりの老人に長寿の秘訣を尋ねたところ,曰く,この実を食す,と。
天皇も食して曰く「むべなるかな(もっともなことである)」と。
以来この植物は”むべ”と呼ばれるようになったとか。
ホントかウソかわからない話ですが,この場合の”むべ”の字は「宜」だろうと思います。

いま,植物の”むべ”には「郁子」という漢字が当てられています。
郁子さんはありがちな名前ですが,郁子さんを”むべさん”と呼んだら怒られそう。
なぜ”むべ”に「郁子」が当てられたのかはもどかしいくらいはっきりしません。
ネット上で『「郁」は、香気のあるさま、かんばしい意、「子」は種子の実の意。たたえて美称したもので、和語として「むべ」と読む』という解説を見つけました。
けれどもこの解説を読んでも「むべなるかな」とはいい難いものがあります。

しかしいい花です。(秋につけるという実も見てみたい)
実も奇麗だとしたら,なんとなくツルリンドウを彷彿とさせるものがあります。
さらに思わぬおまけもありました。
ツアー同行のご婦人がスケッチしていた素適な画をいただいてしまったのです。
この花に出会えたことも,今回の旅の大きな喜びのひとつでした。

むべなるかな


このページについてお気づきのことがありましたらお知らせください

トピックス 2016 トピックス 2017-A トピックス 2017-B