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石狩川河口での遭遇

番外 03

定点観察

- 中道の突き当りの崖

もくじ
石狩の「これ,なぁ~に?」』 - はまなすの丘の道しるべ から
定点観察に関する記述のみ切り離して 『石狩川河口での遭遇』 のサブフォルダとして独立

2010.01.28 公開
2014.10.27 独立
2024.04.20 更新

2008年秋から2009年春にかけての冬期,浜崖は荒波により数ヶ所で食い破られた。
2009年春以降,崖が欠損したいくつかの地点を定点観察点と定めて,その後の形状の推移を数年間追跡した。

そして現在でもそのうちのひとつ(T点)については浜歩きする都度執拗に追い続けている。
T点とは,東屋から砂嘴を横断する中道の突き当りの崖のことである。


2009年

2008.11.13

2009.04.24

2009.05.29

2009.06.25

2009.07.29

2009.09.17

2009.10.10

2099.11.06

2009.11.30

2009.12.25


2010年

2010.01.24

2010.02.21

2010.03.18

2010.03.25

2010.04.19

2010.04.24

2010.05.17

2010.06.13

2010.07.31

2010.09.13

2010.10.16

2010.10.28

2010.11.23

2010.12.21
2010.02.21崖は激しく侵食されて後退したようだ。定点観察の目印(道しるべ)の赤旗が失われては"定点観察"もままならない…

2010.03.18 植物保護センターで2mおきに打ち込んだという杭は,No.6,7,8を残すのみ。10m以上崖は削られたということか。その分だけ崖下の砂浜が広がったようだ。

2010.03.25 貨物船を座礁させるほどの暴風と波浪が荒れた4日後。ここの崖もさらに侵食されていた。このあたりから砂嘴先端に向かって崖下の砂の堆積が著しい。崖の高さはかつての半分,1.5mほどになった。さらに進むと,段差がほとんど埋まっていたり,すっかり平坦になっていたり。

2010.04.24 4月になると崖の高さはいよいよ低くなり,1mあるかなしか。頑張れば上り下り可能。崖の下にさらに砂が堆積したのだろう。

2010.05.17 植物保護センターで設置した杭の位置からすると,04.19この日とではほとんど変化がない。この1ヶ月間は崖の侵食は止まっているようだ。逆に崖下の堆砂は著しく進んでいる(定点観察の写真参照)。

2010.06.13 この1ヶ月間では,崖の侵食も堆砂もほとんど変化なし。ここから上り下りしている様子もうかがえる。

2010.10.28 相変わらず平穏無事。しかしここから100~200m南西の崖は,この1ヶ月間で著しく侵食された。130mほど離れた地点での09.1310.28では崖は2mほど後退して切り立っている。

2010.12.21 前月までとは様相が一変した。崖の後退は数10cmと思われるが,鋭く垂直に削られて,中道を整備する際に敷いたと思われる薄い砂利の層がくっきり。崖下の堆砂が波にさらわれて崖の高さが120~130cmにもなっている。ここから50~70m南西では崖ギリギリまで波が迫り,崩壊も激しい。

2011年

2011.01.24

2011.02.19

2011.03.28

2011.04.12

2011.05.19

2011.06.11

2011.07.03

2011.07.21

2011.08.17

2011.09.19

2011.10.21

2011.11.22

2011.12.21
2011.03.28 この冬は年が明けてからの積雪が深く,1月2月の崖はすっかり雪に閉ざされていた。3月,ようやく姿を現した崖は,雪ならぬ堆砂でほとんど上端近くまで覆われていた。12月に顔を出した砂利の層はもはや見えない。この冬最も侵蝕されたここから南西の崖にも,大量の砂が運ばれてきている。

2011.07.21 5月以降崖の形状には変化なし。7/3には崖下にタイヤが置かれていたり,7/15には踏み台が作られていたりして,人為的な改変が見られた。上り下りにはラクではあるが…

2011.10.21 相変わらず崖の形状に目立った変化はないが,崖の下に砂が堆積して踏み台が半分近く埋まっている。その傾向は 2011.10.09 の写真でも現れている。
この夏5/19以降9月末まで,最大風速が7m/sを超した日は9/2(台風12号に伴う前線の影響)の1日だけ。(気象庁のHPより。石狩のアメダス地点=生振)
それに対し9月に入ってからは1,2,7,12,17日とすでに5日観測されていて,いずれも西よりの風。この風が砂を飛ばして崖下に運んだものだろう。(溜まり方からして,波が運んだものとは考えにくい)

2012年

2012.01.18

2012.02.18

2012.03.16

2012.04.21

2012.05.24

2012.06.19

2012.07.23

2012.08.24

2012.09.26

2012.10.25

2012.11.28

2012.12.13

2012.12.29
2012.02.06 崖から汀線までおよそ20m。そのちょうど中ほどにもうひとつのミニ崖(バームが浸食されてできた低い崖)が生成されていた。砂の層の厚みは30cm程度,その上に50cmほどの積雪層が被さっている。

2012.02.18 さらに8mほど海側に伸びていた汀線からのミニ崖

2013年

2013.01.21

2013.02.10

2013.03.12

2013.04.22

2013.05.28

2013.06.23

2013.07.20

2013.08.12

2013.09.06

2013.10.19

2013.11.24

2013.12.18
2013.04.22 崖下に置かれていた踏み台。昨年中はなんとか露出していたが,とうとう見えなくなった。
それだけ崖下に砂が堆積したということを意味する。崖はほとんど段差がなくなった。

2014年

2014.01.19

2014.02.24

2014.03.17

2014.04.26

2014.05.28

2014.06.25

2014.07.18

2014.08.26

2014.09.18

2014.10.24

2014.11.20

2014.12.19
2014.10.24
このところ顕著なのは,崖下への植生の進出である。
2011年には早くもオニハマダイコンが芽生え,そして2012年になるとハマニンニクなどが崖下に下りてくるきざしがみえたが,それらはまだまばらな点状の動きだった。
それに比べると,2014年では明らかに帯状になっている。
2011年以降,このあたりは波の浸食をまったく受けず,堆砂により2013年以降では崖の段差もほとんどなくなったこと,などによるものだろう。
2008年から2010年にかけての浸食により大きく後退した砂丘草原が,再び前進し始めたことを物語っているようだ。

当初は,浸食による浜崖の形状変化を記録することが主眼だった定点観察は,徐々に,波浪によっていったん失われた海浜植生の回復を期待することに重心が移行しつつあるように思える。
とんでもない荒波が襲いかかり,せっかく回復しつつある植生を根こそぎ持ち去るなんてことのないように祈るのみだ。

2015年

2015.01.14

2015.02.17

2015.03.14

2015.04.25

2015.05.14

2015.06.20

2015.07.16

2015.08.13

2015.09.21

2015.10.10

2015.11.11

2015.12.12
2015.01.14
1月,これほど雪が少ないのも珍しい。
砂嘴の先端方向を見ると,崖下の植生(ほとんどがハマニンニク)たちが競って顔を出している
2015.02.17
本町築堤で朝陽を撮ってから歩き始めての9時少し前。逆光。相変らず雪はほとんどない。
沖合には,中央埠頭へと向かう巨大なLNGタンカーが浮かぶ。
2015.05.14
浜崖から植生限界までの幅はおよそ10mと変わらない。
2015.10.10
10/2の爆弾低気圧,そして10/8,9の大型台風の爪痕は,浜崖までは及ばなかったものの寸前まで迫ったようだ。
バーム(汀段)が浸食されて植生限界を3~5m後退させ,高さ50cmほどのミニ浜崖が形成されていた。
それより浜側にあった流木類はゴミと一緒にすっかり洗いさらわれて綺麗な浜になっていた。
でも,クジラのホネまで失われたのは哀しい。
2015.11.11
このあたり,少しずつさらに浸食されつつあるようで,バームのミニ崖はまた若干後退したようだ。
一時回復して浜崖から10mほども広がった植生限界は,いまでは3mそこそこまで狭まっている。
この冬の浸食のターゲットになっているのかもしれない。
2015.12.12
さらに浸食が進んで,向かって右側40mのあたりでは浜崖ぎりぎりまで削られている。

2016年

2016.01.23

2016.02.25

2016.03.22

2016.04.16

2016.05.24

2016.06.20

2016.07.25

2016.08.18

2016.09.20

2016.10.22

2016.11.26

2016.12.18
2016.01.23
花川ではここまでは雪の少ない冬だったが,浜ではそこそこな雪。
浜歩きには絶好の日和ではあったが,9時ころの西風は厳しい冷たさだった。
この位置での浸食は進んでいないが,車両進入防止柵あたりでは前年に続いてかなり無惨。
2016.09.20
昨年も9/21にバームが浸食されていた後10月にさらに強く浸食されたことがあるので,やや気になるところ。

2017年

2017.01.16

2017.02.15

2017.03.08

2017.04.24

2017.05.25

2017.06.20

2017.07.22

2017.08.21

2017.09.11

2017.10.14

2017.11.13

2017.12.21
2017.01.16
2010年12月以来,ほぼ6年ぶりの浸食に晒された。
垂直に切り立った崖の高さは2mほど。上り下り不能。
それでも目印のポールは健在で,もとの浜崖はかろうじて浸食を免れている。
春まで予断を許さないが・・・
2017.02.15
1月時点より浸食はさほど進んでいないように見える。
2m以上の崖をまわりこんで上がって確かめると,ポールは崖際から数10cm。
2017.03.08
とりあえず浸食は止まったようだ。
踏みとどまっているポールを崖の上から撮る。ガンバッタね。
2017.04.24
訪れた客が上り下り可能なように,監視員氏が崖を崩してくれたようだ。(上から)
2017.05.25
5/9にはすでにできていた流木の階段,この日も健在。補修もされているようだ。
2017.06.20
流木階段を維持するのもなかなか大変みたいだ。
2017.07.22
T点から100mほど砂嘴付根方向で汀線が崖近くまで迫っている。次の浸食はこのあたりかもしれない。
2017.08.21
崖下への植生の進出。ほとんどオニハマダイコンばかりだが,中にはハマニンニク,ハマヒルガオ,ハマニガナなども下りてきている。
2017.09.11
状況変わらず。どうやら浸食される局面からは遠ざかっているようだ。
2017.11.13
11/11から11/12にかけて大荒れだった。新港の波浪計によると,有義波高が6mを越す波が10時間近く続いたようだ。
浜崖の浸食もかなりの長さに亘っている。この辺りはさほどではないのだが,ポールは1本倒れ,階段は破壊された
2017.12.21
先月との様相の違いは,崖下への砂と雪の堆積によるもの。
これにて今年の定点観察の終了。あと一年。

2018年

2018.01.11

2018.02.20

2018.03.18

2018.04.19

2018.05.22

2018.06.15

2018.07.17

2018.08.18

2018.09.11

2018.10.25

2018.11.18

2018.12.21
2018.01.11
留萌港では灯台を根元からへし折った昨年末12/25の風は河口砂嘴にもかなりのダメージを与えているが,T点ではバームに段差ができたくらいでとどまったようだ。ここから向かって右側(南西方向)の浜崖の浸食が激しい。
2018.02.20
前日の雪で久しぶり純白のT点。
向かって右側の浜崖の浸食はほぼおさまっていたが,逆に左側,浜崖の先端方向で浸食が始まっていた。
2018.03.18
雪は残っているが,随分と春めいてきた。浜崖の先端方向での浸食もおさまっている。
2018.04.19
今日は歩くつもりはまったくなかったのだけれど,木道脇のイソスミレに挨拶しようと思って,でも咲いていなかったので気がついたらなんとなく歩いてしまって・・・ここの景色はそのまんま。
2018.05.22
崖下の砂の溜まり方まで状況は先月とほとんど変わらず。ピンボケだった先月の画像よりは幾分まし。
2018.06.15
この日は私にしてはムチャクチャ珍しいことに夕陽狙いでここらへんは沈む前の午後6時40分ころ。
あまり綺麗な夕陽ではなかったとはいえ,正面からの西日に照らされています。
崖の上からの灯台とヴィジターセンター,そして,雄冬岬と愛冠岬真正面の海高島岬(積丹半島はほとんど見えない)
手前に見えるヘンテコリンな流木のモニュメントは,実は5/29にもすでにありました。おまけに近くにはこんなワンコも・・・
2018.07.17
マネキンが浮いていたという騒ぎがあったこの日は,東屋から中道を通って浜に出て,いつもとは反対に右回りに砂嘴先端を歩いた。モニュメントもかなり崩れかけてきている。
2018.08.18
7月末から伸び出していた砂嘴先端は,この日にはすでに消滅していた。へんてこなモニュメントもほぼ崩壊。
お盆が過ぎたばかりというのに秋の空。かなり遠くまで見通すことができた。
北方向(愛冠岬27km,雄冬岬50km),西方向(高島岬29km,積丹半島先端73km)
T点からではなく木道からの東方向(夕張岳,芦別岳73~74km),間にある夕張マッターホルンをズームアップ。
2018.09.11
ヴィジターセンター横の浜からでは,夕陽は積丹半島の上に落ちる。
水平線に沈む夕陽を追って,ここまで歩く。17:40。
6/15に続いて西日を受けるT点。夕陽はだるま太陽。⇒ Topics
2018.10.25
今月は13日にも歩いたのだが,この時はGPSロガーが不調でログがまったく取れなかった。気を取り直して再度歩く。
階段は壊れたが,去年の春以降この近辺に大きな変化はない。
出会いは,自然環境調査ドローン
2018.11.18
2018.11.07から差し替え。11/7には波打際から5mほど離れてバームの崖状の段差(高さ約50cm)ができていたが,11/18には段差はなだらかになっていた。
1週間後の2018.11.25,バームの端は再び切り立った崖状に。11/7の時より浜崖に近づいている。
2018.12.21 (7:22)
11/25に比べてバームの崖は緩やかになっているが,浜崖にさらに接近しつつあるように見える。

2019年

2019.01.08

2019.02.11

2019.03.09

2019.04.11

2019.05.04

2019.06.11

2019.07.07

2019.08.07

2019.09.22

2019.10.10

2019.11.17

2019.12.10
2019.01.08
浸食はついに浜崖まで達していた。T点をほぼ端点として,向かって左側(砂嘴先端方向)およそ50~60mにわたって汀線が迫り浜崖が削られていたが,ほとんど後退はしていないようだ。
1/14 (7:44) T点に朝陽が顔を出す。
1/19 (15:44) お目当ての夕陽はぱっとしなかったが,T点前の浜にはミラクルアイスの原石?がゴロゴロ。
厚く凍結していた前浜の氷が,数日前からの嵐による激しい波で破壊され砕かれた結果と考えられる。
浜崖の浸食は,その後進んでいない。ミラクルアイスについてはコチラ
2019.02.11
寒波襲来で雪は被っているが浸食はない。ここに来る前に出会ったパーティスノーシューの足跡が残されている。
2019.03.09
2/25まで残っていた雪は3/1の時点ですでにすっかり消えていた。
2019.04.11 (17:53)
夕陽を浴びて。(日の入は18:12)
2013年春には崖下の段差がほとんどなくなっていたのだが,いつの間にかずいぶん高い崖になってしまったものだ。
2019.05.04
あまり変わり映えはしませんが・・・
5/26 (19:11) 薄暮(日没直後)のT点。どことなく侘びしい。(日の入は19:02)
2019.06.11 (4:36)
日の出(3:55)直後のT点。陽がほとんど真横から射し,ほとばしる生命感。見ている自分は,ホントは眠たい。
2019.07.07
T点に関しては特段の変化はない。
・盛りはやや過ぎたようだが,まだまだ咲き誇っていたノハナショウブ
・6/20に立て直してきた流木Bは揺るぎなし。ハマボウフウの背後に撮る。
2019.08.07
ほとんど変わらず。
T点近くの波打際に鎮座し続けるモンスター流木。冬のモンスターについてはTopicsレポート済み
2019.09.12
潮位が高い上波が荒くて汀段の上から撮る。→浜崖がかなり近づく。
雨に当るは,波をかぶって長靴の中グチャグチャになるは,・・・
激しい波に洗われたモンスター流木も,構造がかなり露わになる。
2019.09.22
浜崖の登り口近くに大きな流木が横たわっている。9/19の時化で運ばれ置いていかれたのだろう。
9/12に比べ潮位は40cmほど低い。汀線は5mくらい後退したのだろうか。
モンスター流木の基部はすっかり砂に埋もれている。
2019.10.10
前月持ち込まれた大きな流木がまたなくなった。昨日の大時化と関係があるのだろうか?
しかしモンスター流木は平気な顔して健在。
2019.11.17
モンスター流木が動いた!
14日午後からまる3日間大時化が続いた。17日昼過ぎ強風の中訪れる(Topics)と,中道から海に向かってやや左に居座っていたモンスター流木が右側に動いているではないか。⇒ 移動図参照。
あらためて過去に撮影した画像を点検してみた。
モンスター流木が私の画像の中に初登場したのは去年(2018年)の11/15。場所は移動図のⒶの位置。
その後少しずつ動きながら,前回10/29に確認した時にはⒷの位置。およそ20mほどずれた格好。
そして今回11/17には一気におよそ60m強動いてⒸの位置。
流木が勝手に歩いていったのか,はたまたすべて波の悪戯か?
2019.12.10
12月の時化ではこの辺りは浸食されず,むしろ汀線が海側へ後退し前浜がひろがりモンスター流木は安定
だが,いよいよ海氷が付着し始めモンスター化の兆しを見せている。

2020年

2020.01.07

2020.02.16

2020.03.17

2020.04.22

2020.05.08

2020.06.08

2020.07.09

2020.08.08

2020.09.07

2020.10.10

2020.11.07

2020.12.23
2020.01.07
定点観察もいよいよ12年目
先月に続いてこの近辺は堆積局面。汀線はさらに海側に後退,浜崖から40m弱。
したがってモンスター流木も波をかぶることが少ないとみえ,ほとんど着氷していない。
1/19 (7:48) T点に朝陽が顔を出す。かと思ったが,残念…
2020.02.16
例年の2月の画像と比べてみると,確かに雪が少ないことが分かります。
汀線がかなり遠ざかったおかげでモンスター流木は氷を纏うことができません。
2020.03.17
広い前浜。波は結構荒かったが,浜崖から汀線までは50m近く。
モンスター流木の背景は樺戸三山。
2020.04.22
崖から浜に上り下りする階段が造りなおされていた。
関係ないけど,風は強いし波は荒いしとんでもない日だった。雨に当らなかっただけでも幸い。
不用不急に出歩いたらバチが当る。
2020.05.08
気温20℃弱,微風。三密にはほど遠い環境。子ども連れ散策もチラホラ。
2020.06.08
新港タンク群を背景にモンスター流木を撮る。
川沿いに歩いて砂嘴先端を通り,海沿いにこのあたりまでくると,近頃では半分くたばっている。
ので,安易に妥協して歩きやすい中道経由で帰ることが多い。
が,この日は頑張って海沿いに歩いて,少年の凧上げに出遭えた。
2020.07.09
砂嘴先端は春以降も浸食され続けているが,このT点近辺は1月以降ずっと安定している。
2020.08.08
1月以降海側に後退していた汀線がかなり前進してきてモンスター流木すれすれまで波が押し寄せる。
8/7午後からの大時化が続いているためだろう。
2020.09.07
汀線がもとに戻って相変わらず変化なし。変わったことといえば,ここより先端方向で,2羽のトウネンに先導されたことと,1ヶのアオイガイを拾ったことくらい。
2020.10.10
歩いた時刻,干潮へと向かいやや高気圧下,汀線は後退していた。こちらのモンスター流木はのほほんとこんな具合。
はるか,新港北防波堤灯台近辺には浮島現象も見られた。
2020.11.07
モンスター流木にも冬の季節がひたひたと迫ってきている予兆を感じた。
それとは別に,崖の高さが知らぬうちに思いもよらず高くなったような気がする。中道側の崖裏から見るとかなりの急勾配であることに気づく。
2017年にいくらか浸食されたことはあっても2010年以来ほぼ10年間ここの浜崖はほとんど後退することはなかった。その間に崖の上への砂の堆積が着実に進んだということの証しなのだろう。
波で運ばれる砂の作用,風で運ばれる砂の作用,それぞれの及ぼす効果の違いというのも興味深い。
2020.12.06
モンスター流木がまた動いた!
T点から150mほど先端寄りのあたりからT点方向に向かって汀線が浜崖へと迫り,一部はすでに浸食されている。そして驚いたことにモンスター流木も流されて移動していた。
前回(11/07)に予兆を感じた通りの動きだが,その後11/18に歩いた時には流木は同じ位置に鎮座していた。しかし今回(12/06)は,中道から海に向かって右側から左側へとおよそ80mほど大きく移動して波打際にある。現在の位置はかなり不安定なのでさらに移動する可能性が大きい。
より正確な位置は移動図を参照されたい。図の点から点へが今回の移動である。点については昨年11/17のコメントを参照のこと。
(2020.12.08 印の画像を差し替え,コメントも一部追加)
2020.12.23
モンスター流木がまたまた動いた!ちょっとだけど
13日から10日間ほど石狩湾はずっと時化続きだった。汀線近くのモンスター流木は波に揉まれて小刻みに動き続けているようだ。氷を纏って風貌を整えつつあるこの日の流木の位置点は新たな移動図を参照されたい。

2021年

2021.01.02

2021.02.20

2021.03.09

2021.04.06

2021.05.08

2021.06.09

2021.07.09

2021.08.03

2021.09.11

2021.10.04

2021.11.11

2021.12.08
2021.01.02
定点観察もいよいよ13年目。いよいよ変わり映えしないことで申し訳ないの極み。
モンスター流木もやはり少しだけ動きながらもさほど大きな動きは見られなかった。
2021.02.20
2017年冬以来,4年ぶりの浸食

2021.02.11

2021.02.11

2021.02.20

2021.02.20
速報

2/11
2/20
浸食の予兆は前回(2/11)に見られた。このときはまだ浜崖より5mほど手前のバーム(汀段)でとどまっていたのだが,今回(2/20)は浜崖もほぼ垂直に削られ,ここでの上り下りは不能。
ポールも失われたが,この部分の浜崖の後退は1mそこそこで済んだ(T点の窪みの形状も若干残っている)。
ここが浸食をうけると,通常壁面に砂利の層(中道造成時に敷き詰められたもの)が現れるのだが,今回は見つからなかった。おそらく,2017年浸食時,4月に歩行可能なように崖を崩したことによるものだろう。
バームや浜崖を浸食した波浪は,ここで睨みを利かせていたモンスター流木をも巻き込んだ。

移動図 210220
左の新たな移動図において,
点 昨年12月末から今年1月末の位置
2/11の位置
2/20の位置
ちなみに,
間,約130m
間,約70m
2021.03.09
浸食はその後小康状態。新たな深手は見られず安心。砂嘴先端側からと,付け根側からの光景。
モンスター流木もⒼ点から動かず。背後に灯台の頭が見える。
2021.04.06
雪は消えたが浸食状況は変わらず。ここでの上り下りはできない。
河口方向を望むと,石狩川の融雪増水の影響で海はくっきりとツートーン
モンスター流木の位置も不変。増毛の山並みと,と,高島岬と(積丹半島はごくうっすら)。
2021.05.08
こころなしか,崖と汀線までの距離が縮まり,浸食が再び迫ってくるのかもしれないような気がした。
かなり離れたモンスター流木はいよいよ砂に埋没してアップアップ。この日も遠景は黄砂でさっぱり。
2021.06.09
T点前の浜が浸食を受け,バーム(汀段)にミニ浜崖ができている。
その外側にはかなり大量の木屑枯葉ゴミ(ガス)が堆積。複雑な汀線模様。
2021.07.09
その後浸食は収まり,大きな変化は見られない。
近くに大きな流木オブジェが踏ん張る。ただしこれは,6/24にも見られたもの。ほとんど進化も退化もしていない。流木オブジェとしては,知津狩川河口のものより見劣りがする。
2021.08.03
T点より付け根側ではたまたま2月の浸食も軽微だった。T点から20~30m以遠では浜崖下斜面に進出した植生群もそのままで,とりわけハマボウフウが大群落を形成している(既報)。この日も状況を確認するつもりでいたが,熱中症寸前で退却。しかたないので前回7/20の画像で勘弁していただく。
ここを保護の対象とする砂丘草原の中とするか外とするかで意味合いが大きく異なる。いずれ波にさらわれるであろうことは間違いないのだが。
2021.09.11
ワタクシ的には6/24初対面の流木オブジェ,少しずつ形を変えつつも健在。こんなことくらいしか書くことがないということは,このページもそろそろオワリに近いということなのでしょうね。
2021.10.04
またまた流木オブジェの話題でお茶を濁すことになり恐縮なのだが,9/11には確かにあったオブジェ,9/21には消えていた。だからこの日もなかった。そして9月中は浜崖から汀線までの距離が20m近くあったのに,この日には10m強。その時々の潮位や波の荒さにもよるので一概にはいえないが,前浜が狭くなってくるのは浸食される兆しともとれ,やや不安材料ではある。
2021.11.11
今月も変わり映えがなく申し訳ない。というか,激しい浸食にさらされないのはいいことに違いない。
波打際を歩いていると,足元にもそもそ動くものがある。毛虫というより芋虫。体長5cmほどもあって大型。こんな水際をなんの幼生なのだろうか。この日南西の風が強く,必死に歩き始めても風に飛ばされ丸くなって転がっていく。
2021.12.08
12/2の大時化の置き土産だろうか。砂嘴先端からずっと浜全体に馬鹿にたくさんのバカ貝が打ち上げられていて(Topics),T点近傍も例外ではない。蓋を閉じずにいるボンヤリ者は,たちまちオオセグロカモメなどの餌になる
2021年はこれにて終了となるが,さてこのシリーズ,来年はどうなるのだろうか?

2022年

2022.01.11

2022.02.12

2022.03.04

2022.04.10

2022.05.10

2022.06.15

2022.07.11

2022.08.04

2022.09.12

2022.10.08

2022.11.06

2022.12.06
2022.01.11
2021年の12月に”来年はどうなるのだろうか?”と書いたが,たちまち”来年”になってしまった。
毎月というわけにはいかないかもしれないが,体が動く限りは砂嘴を歩き続けることになるのだろう。
行きがかり上14年目に突入することになる。
T点は昨年2月に4年ぶりの浸食を受けた。その後バームの浸食はあったが12/8までは変わり映えがしなかった。ところが12/24に訪れた時T点から砂嘴の付け根側にかけてかなり浸食されていることが認められた(付け根側から先端側から)。そして1/11,雪に覆われた浸食部分。状況にあまり変化はなさそうである。
2022.02.12
向かって右側の太い杭が消えた。それは前回訪れた1/23時点ですでに失われていた。
1/11以降この近辺の汀線は沖方向へと15mほど前進,前浜が広がっている。とりあえず浸食は収まったようだ。
2022.03.04
前回(2/12)の後,2/20から連日大時化に襲われたがこのあたりではほとんど変化がない。浜崖から汀線までは前回同様およそ40mと,前浜が広い(下の移動図参照)。
そしてカタクチイワシが大量に打ち上げられていた(Topics参照)。
大時化の影響で驚いたのは,モンスター流木Tが前回よりも400m以上南に大きく動いたこと。

移動図 220304
左の新たな移動図において,
点 一昨年12月から昨年1/21までの位置
点 昨年2/11の位置
点 昨年2/20の位置
今年2/12までほぼ1年間流木はこの位置に定住していた。今年2/12の姿
点 今回3/4の新しい位置と,その姿(南方向),(北方向)。カタクチイワシたちも連綿と。
ちなみに,間は約420m
2022.04.10
T点近傍は昨年12月末から今年1月にかけて汀線が接近,浜崖が浸食を受けた。しかし2月以降汀線は浜崖から遠ざかる傾向が続き,今回はついに浜崖から50m以上沖合に向かって離れた(参照:2022年春の砂嘴先端)。浜崖が現在の位置にほぼ落ち着いて以降,前浜が最も広がったのではないだろうか。
2022.05.10
T点近傍の汀線は,浜崖方向に10mほど後退。やや狭くなったとはいえ,前浜はまだまだ広い。
T点より若干先端よりの地点からさらに先端方向を眺めた画像 ⇒ 6/15のコメントのサムネイル画像参照。
4/29のみは前浜が思い切り広がったかのようだったが,どうやらそれはほとんどが枯葉枯枝ゴミ(ガス)の堆積だったのかもしれない。
2022.06.15
変わり映えがない。ので,5/10のコメントにあるT点より若干先端よりの地点からさらに先端方向を眺めた画像をサムネイル表示で下欄に引っ越した。サムネイルをクリックして眺めていただきたい。
継続的に先端のふくらみが削られて後退していることが分かる。
2022.07.11
T点の形状はこのところずっと安定しているが,砂嘴先端のジリ貧(ふくらみの衰退)は依然として継続している。
2022.08.04
7月とほとんど変化なし。
2022.09.12
T点では相変わらず8月とほとんど変化なし。しかし先端では離れ小島ができて,それが地続きになった。
2022.10.08,16,26,31,11.01
先月現れた先端の小島はあっという間に海面下に沈んだ。しかし今月に入りより沖合にさらに大きな2つの小島が浮上した。10/8の時点では海面上に僅かに顔を出した程度でT点からはほとんど確認できなかったが,10/16にはT点浜崖上からはっきりと視認できた。
さらに10/26にはT点浜崖上から小島が大島に成長している様子も確認できた。
なおこの日現在,石狩灯台から砂嘴先端までの直線距離は,およそ1280m。(砂嘴とはいいたくない方々もいらっしゃるようですが[たとえば砂嘴状地形とか],私には断固として砂嘴なのです)
そして10/3111/1,島は本土に繋がり一体となった(といっても,繋がっている部分は浜崖で死角になっているのが残念)。これにより,灯台から先端までの距離はおよそ1360mとなった。
2022.11.06,09,12,20
先月末から島は本土に繋がったまま。ただし波に押されて川側へと移動,変形したため,11/6T点浜崖から望むとかなり短くなったように見える。
11/9には潮位が下がり島が拡大したことにより浜崖から見ると11/6より随分伸びている。
11/12,やや短くなったが幅広にずんぐりしたように見える。
11/20,11/13,14の時化で,先端の伸び出し(島部分)が削られ平べったく両脇が拡大。⇒Topics
2022.12.06,12
前回11/20ころに比べ汀線軌跡が激変,T点から150mあたりで汀線が海側に大きく膨らみ,その反動か,T点近くで凹んで前浜が浸食されている(先端側から付け根側から<12/7>)。T点浜崖上から先端方向を眺めた画像も様変わり。
浸食は浜崖までにはまだ及んでいないが,これからの推移を見守る必要がある。⇒Topics
12/12,前浜の浸食がさらに進み,切り立った崖がさらに高くなっていた。この勢いが続くと,浸食はまたまた浜崖まで達するかもしれない。しかし年内は確認にいくことができなくなった。

T点より若干先端よりの地点からさらに先端方向を眺めた画像

4/10

4/29

5/10

5/23

6/15

6/27

7/11

7/26

8/4
というわけで,先端海側のふくらみはまったく回復の兆しなくジリ貧状況が固定化。
ひとつの仮説だが,右岸の浸食が完全に止まったいま,砂嘴先端を伸ばす(膨らます)のに必要な資源=沿岸漂砂の供給も停止してしまい,砂嘴は伸びる力を失ってしまったのだろう。石狩川流域で大洪水が起きれば別だが。(2022.08.07)

8/30

8/30(拡大)

9/12

9/12(拡大)
8/30 先端に離れ小島ができた。
そして
9/12 離れ小島まで地続きになった。
(2022.09.14)

10/16

10/16(拡大)
9月の小島はその後沈没。
替わって10/8に別の小島が浮上。
10/16 かなり沖合に2つの小島が見える。
その後島は本土に繋がる。
詳細 ⇒ 砂嘴先端の離れ小島

2023年

2023.01.06

2023.02.06

2023.03.02

2023.04.04

2023.05.04

2023.06.08

2023.07.04

2023.08.06

2023.09.07

2023.10.04

2023.11.02

2023.12.04
2023.01.06
2009年にこんなページを作ってふと気がつくと15年目の幕開けとなってしまった。夏も冬も,毎月欠かさずこんなところによく通い続けたものだと,我ながら呆れる。車が運転出来て,さらに1万歩ほど歩ける脚がある限り続けるつもりだ。などとエラそうなことを書くと,たちまちダメになるんだよね。
さて今月のT点。昨年12月汀線がこの近辺で凹んで前浜が浸食を受けた。12/12の時点でかなりの段差ができていてあるいは浸食が浜崖まで及ぶのかとも思われたが,なんとか踏みとどまっていることが確認された。
モンスター流木T健在 (1/11追記)
その後のモンスター流木T,昨年3/4の移動図の位置からほとんど変わらず。
汀線が海側に退いていた10/26には堆砂にかなり埋もれていた。
汀線のうねり形状が変化し凹部となった12/12には波に洗われ露出した。
1/6には雪にうずまっていて見つけるのに難儀した。
2023.02.06
雪を被っているので解りにくいが,とりわけ向かって右側の部分の崖が新たに浸食を受けて形が変わった模様である。しかし,さほど後退はしていないようだ。
2023.03.02
基本的な状況にはあまり変化がないが,浜崖の浸食が先端からT点方向に移動し,T点から80~100mあたりでかなり厳しくなっている。<先端側からT点方向を望む>,<T点から先端方向を望む>
2023.04.04
浸食は一段落した模様。今年は植物由来の堆積物が多く,T点近傍の浜にも満たされている。ひと月前とは景観に大きな隔たりがある。<先端側からT点方向を望む>,<T点から先端方向を望む>。
2023.05.04
先端からT点近傍にかけての浸食はほぼ安定。浜崖下にも砂の堆積がみられる。<先端側からT点方向を望む>,<T点から先端方向を望む>。
2023.06.08
2023.07.04
2023.08.06
3ヶ月分まとめてのアップロード。ほとんど状況に変化は見られない。砂嘴先端は夏季にもかかわらず今年もジリ貧傾向がみられるが,ここに限らずこのところ浜崖はそうじて安泰である。
(new)
2023.09.07
2023.10.04
2023.11.02
2023.12.04

2024年 (new)

2024.01.03

2024.02.08

2024.03.11

2024.04.03




5年間での浜崖浸食/後退の様子

2010年春から2014年春まで
いしかり市民カレッジ 第1回配布資料 より
全体図 A部拡大図 B部拡大図
A,B部拡大図の黄数字は,2009年5月から2014年3月までの浜崖の後退距離 (ただし概数)
定点観察点は,図にあるように当初4点設定(T,U,V,W点)
現在まで継続して定点観察をマジメに続けているのはT点のみ。(他の点はかなり気まぐれ観察)
T点より先端方向については,2011年春以降浜崖の浸食/後退は見られない。
2012年の冬以降は,全体に浸食の度合いが軽減していて,それもU点より付け根方向のみで発生していることがわかる。



崖下植生たちの変化の様子を追う

最初の行を除いて,基本的に植生たちが最も元気のいい7月ないし8月の情景を選択

撮影日 砂嘴の先端方向 砂嘴の付け根方向 コメント
2011.03.28 T点の浜崖が現状に固定された雪解け後の最初の情景。
大量の堆砂があり,かつ芽吹き前なので崖下には植生を確認できず。
2011.07.21 オニハマダイコンが点々と芽吹く。
2012.08.17 オニハマダイコンに混じって,ハマニンニクも下りてきている。
2013.08.22 植生の拡がりがかなり進んできていることがわかる。
2014.08.26 ハマニンニクがほとんど密生。
とりわけ砂嘴の先端方向に勢いよく帯状に連なっている。
付け根の方向にはさほど伸びていない。
2015.08.13 汀線方向への新たな前進(拡がり)は見られない。
しかしかつての浜崖からほとんど完全に植生帯が繋がっている。
2016.08.24 前年に比べて明らかに植生の幅がかなり狭くなった。
浸食されて,植生が後退したのだ。
ここらへんの経緯については,[続]崖下の植生たち を参照してほしい。
2017.04.24 T点のあたりは,2016年12月以降,2017年1月半ばにかけて厳しい浸食を受けた。(その1,2,3月の様子はコチラ)
浜崖はほぼ直角に切り立ち,崖下の植生は砂と一緒にすっかりさらわれた。
雪が解けた4月,崖下には新たに堆砂が見られるが植生の姿はまだない。
2017.08.21 ほとんどがオニハマダイコンだが,ハマニンニク,ハマヒルガオ,ハマニガナなどの姿も崖下にチラホラ見られるようになった。
波に襲われなければ,植生たちは再び崖下を覆うことになるのだろう。
逞しい。



植生限界調査

2014.11.01
2008年以降,激しく波に浸食された浜崖の下で海浜植生のしたたかな復活再生の兆しが見えてきている。
現時点で,崖下に植生たちがどのくらいの幅で進出しているのか,調べてみた。

浜崖が浸食されるパターンは必ずしも一様ではない。
ときに高波に一気に乗り越えられて,V字型に抉り取られるケースがある。
これは2008年から2009年にかけての冬に数ヶ所で確認され,その後の定点観察点の目印として利用した。

多くの場合では,幅数十mから数百mにわたって削り取られる。高さ3m以上の崖でも,ほとんど垂直に刃物で削ぎ落としたかのように持って行かれる。しかも崖直下まで波に洗われていることが少なくない。
こうした場合,崖上の植生が受けるダメージも計り知れないが,その前に崖下に下りてきていたかもしれない植生たちにとっては根こそぎさらわれてしまうわけで,壊滅的なダメージとなる。崖下ではまさにゼロからの出発なのである。
T, U, V点は,定点観察点
(定点観察点については,上記”5年間での浜崖浸食/後退の様子”参照)
A点は,2009年の浜崖線よりも,現在の植生限界がすでに汀線側に広がり始めている点で,T点からおよそ160m
B点は,浜崖のもっとも砂嘴先端側の点で,2009年当時と現在とほとんど変化はない.T点からおよそ360m

撮影点 植生の状況 コメント
V点から付け根方向 V点から砂嘴の付け根方向では2014年の冬にも崖が浸食された。
そのためここでは植生の回復はまったく見られない。
V点近傍 浸食を受けなかったため,まばらではあるがハマニンニクなどの植生が見られる。
実測によると,浜崖から崖下の植生限界まで約6mである。
V点~U V点とU点との間では,2013年の冬に浸食を受けている。
そのためまだ崖の傾斜がきつく,かつ崖下にはかなりの堆砂が見られる。
植生の回復は遅れていて,堆砂の端にオニハマダイコンが点々と芽吹いているのが見られる程度である。
U点~T ここでは2012年以降の浸食はないが,2010年から2011年にかけての冬にどこよりも激しく浸食されて20mほど崖が後退した。
T点までの崖にはまだかなりの高さがあるためか,ハマニンニクなどの復活は見られるが,まばらな感じ。
T点から先端方向 T点から砂嘴の先端方向へは浜崖はいくらか小高くなっている程度で”崖”といえるほどのものではない。
そのため植生たちは容易に崖から下に根を伸ばせるようで,ほとんど崖から連続的に帯状に広がっている。
実測によると,浜崖から植生限界まで植生の幅はT点で約10m。
p1 T点から60~70mのこのあたりで,植生の幅は一気に20mほどに。
左の写真は,p1からまっすぐ浜崖の方向を望んだものである。
A T点からおよそ160mのこのあたりで,植生たちは2009年の崖のレベルよりも汀線側へと進出している。
5年間で砂丘草原化している回復力には驚かされるものがある。
p2 ここはもうかなり先端に近いが,植生限界がすでに小さな浜崖を形成している。
B T点からおよそ360m。
現在の浜崖のもっとも先端のあたりの植生限界。
ここでは植生の幅は40mほどにもなっている。
p3 上の位置からさらに80mほど。砂嘴先端の形状同様植生限界も湾曲する。
ここから振り返った写真である。
汀線側の砂浜との間に,低いが明らかに段差が形成されている。



[続] 崖下の植生たち

2016.06.05
2015年10月,T点近辺としては2010年春以降5年ぶりに激しい波に襲われた。
それも真冬の荒波ではなく,秋の低気圧と台風によるものだ。
浸食はさいわい浜崖にまで達してはいないが,崖から下りて広がりを見せていた植生たちはかなり削られて後退した。
T点あたりでは10mほどになっていた崖下の植生の幅はおよそ3mに短縮し,高さ50cmほどのミニ浜崖が形成された。
この崖が定着すれば,3mほどでも浜崖の前進,ということになるのだが・・・
撮影日 砂嘴の先端方向 砂嘴の付け根方向 コメント
2015.09.21 この段階では,ほぼ1週間前の 2015.08.13 の状況とほとんど変わらない。
崖下に下りた植生たちは元気いっぱい。

しかし・・・

10月に入るなり爆弾低気圧と大型台風に立て続けに襲われる。
2015.10.10 汀線近くから遠望した画像である。
バームの浸食はT点より先端方向50mあたりから始まって,T点より付け根方向のU,V点あたりまで続いている。
U点とV点の間にあったクジラの背骨も持って行かれた。
T点でもバームが削られた跡が50cmほどの高さのミニ崖になって残った。
もとの浜崖からこのミニ崖まではおよそ3m。
したがって6~7mほどの幅で植生が削られて消失したことになる。
2016.05.24 冬期の浸食は見られず,これまでのところこの近辺では形状に変化はない。
ミニ崖の下に新たに砂が堆積し,植生たちが懲りずに進出しようとしている様子もうかがえる。

ガンバレッ!


浜崖前進の予兆

2016.09.03
すでに書いてきたように,荒波による浸食を受けかなり後退した浜崖も,一部で復活の兆しを感じさせる部分がある。
植生が崖下に下りて進出し定着することにより,崖上の植生とつながって浜崖=草原砂丘が前進する徴候がうかがえる。

なおこの場合の植生には,一年草のオニハマダイコンなどは除外して考えている。
あくまでも地下茎ないし根が伸びて砂を固定する多年草(主としてハマニンニク,および時にハマニガナ,ハマボウフウなど)が分布する限界をなぞって歩いて調査したものである。
【崖から下りてガンバる植生調査】
2016年7,8月時点で,砂嘴先端部(車両進入防止柵以北)での植生の崖下への進出は,上図A,B,Cの3ヶ所で確認されている。

このうちAは,定点観察点のT点のやや南から砂嘴先端に向かって延長およそ500mに及ぶ。
しかももとの浜崖を越えて植生がほぼ連続し,進出した部分もほとんど草原砂丘化している。
ここは2010年まで激しい浸食を受けて大きく後退することにより,当時の浜崖がかなり低くなったことにもよるだろう。

Bは延長70m程度。しかし植生は密で,かなり高い浜崖上の植生とほとんど連続しているので期待できる。

Cは延長200m。植生の密度はまばらで浜崖上の植生とは繋がっていない。
Cの南端から南方向へはここ1,2年浸食のターゲットともなっているので,植生たちがしっかり根付くことができるか予断を許さない。

参照 : 砂嘴先端2015 の まとめ



【A】
このあたりは昨2015年秋以降2ヶ所でバーム(汀段)の浸食を受けている。とりわけ先端部は激しい。
そのため浸食を受けた部分では2014年時点での植生限界よりも後退しているが,浸食を受けなかった部分についてはむしろ前進している。
上図の A1~A6 の各点から眺めた画像を以下に示す。(2016.08.24 撮影)
ここで,"-a" は各点から砂嘴先端方向(北)を見たもの,"-b" は逆に砂嘴の付け根方向(南)を見たものである。
A1 は,T点から 約30m ほど南の点で,ここが現時点での植生進出の南側起点である。
A3 は,バーム浸食の南側端点近傍で,ここから植生限界はイコール崖となる。この崖が新たな浜崖になるのかどうか・・・?
A5 は,かつての浜崖の端点で赤旗が立てられている。

A1-a

A1-b

A2-a

A2-b

A3-a

A3-b

A4-a

A4-b

A5-a

A5-b

A6-a

A6-b

【A】 のエリア,崖下植生押し戻される

2017.03.29
2015年秋以降浸食局面を迎えたAのエリアは2016年8月以降も引き続き浸食が進んだ。
T点(中道の突き当り)近傍は2016年12月まではバーム部分が削られる程度(a)だったが,その後翌2017年1月の中ほどにかけて激しく浸食され,ほぼ2mの高さの垂直な崖状態(b)となった。
これは2011年の春のレベル(旧崖)まで崖が押し戻されたに等しく,5年近くかけてなんとか崖下に進出した植生はまたもやすっかりさらわれてしまったことを意味する。
ただし,進出植生が維持されている部分(上図で,白線と黄線との間)も広いところでは15mほどもあり,これがそのまま維持されると浜崖が前進したといえるだろう。
T点近傍
2016.12.18 (a)

2017.01.16 (b)

2017.02.15 (c)

2017.03.08 (d)
T点近傍での浸食は1月以降は収まっている(c,d)が,やや先端方向の汀線の凹みが持続しているので今後さらに浸食が進む可能性もあり油断できない。



【B】 & 【C】
B および C のそれぞれを北側からと南側から眺めた画像を付記する。(2016.08.24 撮影)

B

B

C

C

【B】 のエリア,やや後退

2016.11.01
7/25 の時点で長さ約70mにわたって最大で8m強の幅で崖下に植生が進出していたBのエリア。
9月に入ってバーム(汀段)の砂の部分がやや削られる傾向が見られたが進出植生は無傷だった。
しかし 10/11 に歩いてみるとバームの浸食が進んで植生部分も3mほど後退し,かなり高い崖が形成されていた。

9/20 の様子と 10/11 の様子を比較してみた。
a, b9/20 の,c, d, e10/11 のそれぞれ画像の撮影ポイント。

a

b

c

d

e
9/20 では砂の部分にわずかな段差がついて浸食が見られるが植生部分には及んでいない。
10/11 では植生部分にまで浸食が進み,かなり高い崖が生成されている。
しかし Google earth の背景画像に見られる2014年10月時点の浜崖は維持されていて,新たにできた崖までまでの間,およそ5mほどの幅で植生は健在である。
これ以上の浸食がなければ,植生の進出とともに浜崖の前進にもつながるわけだが,予断はゆるされない。

e は植生がなく崖下に砂のみが堆積していた部分で,面白い形の浸食による造形が見られた。

【B】 のエリア,辛うじて残った崖下植生

2017.03.25
Bのエリアはその後も浸食が続いて崖下に進出した植生領域は削られ続けた。
2016.11.26 の時点では崖下植生の長さは 約30m
年明け 2017.02.15 ではさらに短くなって 20m以下
その後は浸食を免れているようだ。

2016.11.26 a

2016.11.26 b

2017.02.15 a

2017.02.15 b

2017.03.27 b

2017.05.25 b

2017.10.14 a

2017.10.14 b

2017.11.13 a

2017.11.13 b
2016.11.26 は崖の上から撮ったもの。
2017.02.15, 2017.03.27 は汀線側から見上げたもの。
どちらも,a は砂嘴先端側からで,b は砂嘴の付け根側から見た画像である。
2017.05.25 かなり緑も濃くなってきた。
浸食局面では汀線が崖際まで迫るが,現時点での汀線は崖からおよそ30mまで後退している。
たかだか長さ20mほどだが,この部分の浜崖の前進はしばらく安定してくれることだろう。
2017.10.14 2017年は秋までまったく平穏だった。
2017.11.13 しかしそれでおさまるわけもなく,11月11,12日大荒れとなった。
(石狩新港波浪計での有義波高が6mを超していた。一年に1度か2度あるかなしかの激しさだったのだ)
その結果Bのエリアにも大きな波が迫り,もはや風前の灯火。この冬を乗り切ることができるだろうか。
しかし崖下進出の痕跡が残る限り追い続けることにしたい。

【C】 のエリア,浜崖前進に新たな期待

2017.06.30
2016年夏の時点では,Cのエリアに比べてBのエリアは規模は小さいものの植生がかなり密生していて期待していた。
しかし9月以降の浸食が厳しくなさけないほどにこじんまりとしてしまった。
一方Cのエリアは,同様に浸食を受けながらも11月以降は比較的安定。
2017.06.20 あらためて詳しく調べてみた。
エリアの長さは約200mから約150mに短縮,植生のも狭まった(広いところで10m程度)とはいえBのエリアよりはるかに健在。
今後しばらくの間浸食を受けなければ崖下植生はさらに密になって浜崖の前進につながる期待感を抱かせてくれる。
なお黒線の2014.10.07の浜崖ラインと現在の浜崖ラインはほとんど変わらない。

a

b

c

d

e

f (11/13)
エリアの両端には浸食の際の荒々しい爪痕がいまだに残る。(a,b)は上の図のa点,b点に対応。
段差に違いはあるが,バームの浸食を受けた影響でエリア全体が崖の上になっている。(c)
崖が低いので,植生も容易に下に根を下ろすことができそうである。
崖の上のもともとの浜崖との間は,植生がかなり密になってきているのがわかる。(d)
6月に入り暖かで陽射しの強い日,この辺りを歩くときは十分注意する必要がある。
場合によってはクマより厄介な生き物に遭遇してしまうこともあるのだ。
この日も植生調査にくたびれて足取り重く歩いていた。
すると(e)のくぼ地の辺りでとんでもないものを見てしまってぞっとした。
全裸の男が仰向けに寝そべっていたのだ。
日光浴するのはあなたの勝手かもしれませんが,お願いですからやっぱり慎んでいただきたいと思います。
2017.11.13 10月の時点でやや浸食された部分もあったが秋まで安定し,植生の生育も順調だった。
Bのエリア同様に11月11,12日の波浪により浸食され崖ができていた。(f)
(a) と (f) とはほとんど同じ点での姿なので変りようがはっきりわかる。
しかしそれでもCのエリア全体としては良好に保存されたといえるだろう。
それよりもその後は6/20の全裸男に遭遇せずにすんだのは幸いだった。
ま,こちらから”危うきに近寄らず”に徹したこともあるが・・・

【B,C】 エリア,2018年1月

2018.01.24
2017年11月11,12日の大荒れにより,Bのエリアはもはや風前の灯火,それに対しCのエリアは全体としてなんとかもちこたえている状況にあった。(既報)
しかし自然の猛威はそれではおさまらなかった。
12月25日石狩の最大瞬間風速は29.2m/sを記録。観測史上最大。(といっても2008年以来だから,この10年で,といった方が正確)
予測通り,浜崖の浸食はさらに広がっていた。
[浸食の全体図はTopics 2018.01.18 の図を参照してください]
[B] のエリア全滅

2018.01.11 (a)

2018.01.17 (b)
石狩灯台以北で最も浸食されたのはBのエリアをすっぽりと含んで前後300mほどの区間。
GPSの誤差を考慮しても浜崖ラインは2016.09.27の時点から5~10m削られて後退したものと思われる。
(a) 汀線側から眺めても,かつての植生進出の痕跡はまったく認められない。このあたりは完全に切り立った崖である。
(b) 浜崖上から見ても全滅したことが分かる。
[C] のエリアはほぼ無事だった

2018.01.11 (a)

2018.01.11 (b)

Pa

Pb

Pc

Pd
        
上図でも分かる通りCのエリアの中心部はまったく浸食を受けていない。
両側から浸食が始まっているが,Cのエリア部分ではバームの浸食にとどまり浜崖までは達していない。
いまのところ植生進出部分は2017.06.20の時点と変わらず,長さ(延長)は約150mのまま保たれている。
(a),(b) は浜崖に向かって左端(砂嘴の先端側)および右端(砂嘴の付け根側)からそれぞれ植生進出部分を見た画像。
Pa~Pd は 2018.01.17 に上図記載の a,b,c,dの方向から崖を眺めた画像。(拡大画像には注釈入り)
Pa,Pd は植生進出部分の両端点。
Pb,Pc は今回の浸食の始まるあたり。
というわけで,Bのエリアが跡形もなくなっても現状ではほぼ無傷な(幅は若干削られたが)Cのエリアが今後どれだけ頑張れるか,見守り続けたい。


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砂嘴先端2014 砂嘴先端2015 砂嘴先端2016 砂嘴先端2017 砂嘴先端2018
河口砂嘴の地形変化-総集編
(A) 先端部の季節的変化
河口砂嘴の地形変化-総集編
(B) 石狩砂丘の堆積速度
河口での遭遇 : 目次